ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
メーカー:任天堂
開発:任天堂統合開発本部
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2017年3月3日
価格:6980円
ジャンル:アクションRPG


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執筆: アルツ社長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
10 9 8 10 10 10 8 96
プレイ時間…300時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
うむっ!最高でごわす!
《バランス・全体として》
・広く広がる世界。圧倒的なスケール感。遠景までしっかり描写され、一方で建造物の細かい装飾だの地面の質感だの、更にはそこに流れる空気感、温度、匂い、人や魔物や生き物の気配、そういった細かいディテールに至るまで、徹底的に手抜きナシで真正面から作り込んである、ある種、流用だの手抜きだの効率の良さだのからかけ離れた、恐ろしいまでのクソ真面目さで世界のすべてが構築されている『ゲームの世界そのものに対して恐ろしい』って感じたのはいつ以来だろうか、ホント、凄まじいゲームに出会ってしまった衝撃と感動がある。1998年の『時のオカリナ』以降のゼルダは、長く時オカに翻弄されてきた印象があったが、19年目にしてようやっとその呪縛を打ち破った感があるこのスケール感&存在感は圧倒的でありバケモノ級。わしの語彙力では到底表現しきれそうにない。

・個人的にはオープンワールドゲームってのはどうも苦手で、圧倒的な広さ、それに対して少なくて密度がスカスカに思える作り、自由度こそ高いが何をどうすれば良いのかわからなくなるゲーム内での目標提示の少なさなどなど、どうもゲーム側からチヤホヤと接待される系の受け身なプレイスタイルが見に染み付いてしまってるわしである。ただ、このゲームは普通のオープンゲーと異なり薄さが無い。それでいて(従来作よりは確実に面倒くさくて敷居も高いけど)ある程度はシステム側からの目標が設定され、完全に詰むとはまぁなかなかならんとは感じる。フィールドも何かアクションを起こせば何らかのリアクションがあり、プレイヤーを飽きさせない。そんな自分でもどっぷりと世界に引き込まれるだけの比類なき吸引力・没入感みたいなパワーがある。そんなゲーム。

・難易度的な部分で言えば、ファミコン時代すら想像させられるかなりの高難度。まぁ下の欄でも挙げとる通り、全面的に良いとは言えん部分ではあるが、高難度が巧くゲーム内容とマッチしており、手応えって意味ではシリーズ作の中でも随一。また、オートセーブ機能が充実しており、長時間セーブしてなかった→かなり戻される…という事態がまず起こらんのは親切と言える。

《グラフィック&サウンド》
・本編ではシリーズ初のボイスが付いたが、違和感はナシ。変に声優色が前に出たりすると、アニメとか別に思い入れの無いわしは辟易するんだが、あくまでも演出上効果的だからボイスも入れてあって、変にアニメアニメしてないのは安心した。

・リアル路線じゃないけど非常にリアルさを感じるグラフィックは良い。全体的に淡くて水彩画みたいな独自の表現のグラフィックが印象的。フォトリアルな方向性のグラフィックの進化だけでなく、こういったユニークな進化があってもいい。『風のタクト』みたいにデフォルメ路線に振り切ってもいなくて格好良さもある。落とし所として面白い試みだし個性も感じられて非常に良い。もっとこういう路線の表現を選ぶゲームが増えれば良いなァとは思う。

《快適性》
・ワープ直後などのロード時間は長いが、それ以外は十分頑張ってる内容。ダンジョン以外の建物はフィールドと繋がっておりシームレスで入れるため、細かい読み込みに悩まされない作りは良し。
ぬぅ…イカンでごわしょう。
《バランス》
・自由度の高さは本作の魅力だとは思うが、逆に言えばゲーム側からの目標の提示は従来作よりかなり弱め。大海に放り出されて「後は自分で考えて判断しろ」とほぼ全面的にプレイヤーに判断が委ねられる格好であり、必然的に負担も大きく疲れる内容である事もまた確かと思う。この点でライトなゲームファンはバッサリ切り落とされる恐れもある気はする。オープンワールドゲーが苦手なわしでもぶっ通しで8時間とか遊べたりするくらいなんで、余程「それ系のゲームだけは絶対イヤ」って方以外なら、ましんどいのが苦手な方でも楽しめる方とは思うが。

・上の欄で良いとことしても挙げた難易度だが、やっぱ難しい事でも相当プレイヤーの振るい落としはあるとは思う。ここ数作のゼルダと比べると『非常に難しい』って表現しても良い域のシビアなバランス取り。プレイヤーの上達がダイレクトに反映される作りとも言えるけど、システム自体の突き放しっぷりもあって、人によっては「楽しい」よりも「キツい」&「面倒くさい」が前面に出てしまう事はあるかもしれん。その点では確実に遊び手は選ぶ。『死にゲー』全開な調整であり、正直、『プレイヤーに対するゲームスキルの総合力の要求』的なシリーズ特有の敷居の高さは一層上がっており過去作より数段高いとは思う。

・従来作ではほぼ無かった『武器が壊れる』要素だとか、『草を切ればハートが出て回復』なんて事もなく、回復するにはアイテムを拾ってそれを加工して回復効率を上げ…と全ての行動に一手間掛ける必要があり、その自由度の高さと組み合わせの多さも魅力ではあるが、面倒臭さに拍車が掛かった点もまた確か

《グラフィック&サウンド》
・BGMは環境音がメインで、これまでのシリーズのような前面に出るBGMではないため、寂しいと言えば寂しいかもしれん。ゼルダならもうちょっとメロディの主張の強い、印象に残りやすいBGMがあっても良かった気はする。

・森だとかオブジェクトの多い描画の負担が大きいであろう場面ではフレームレートが目に見えて落ちる場面がある。【追記】数度のアップデートで多少改善した感もあるが、依然落ちる所では落ちる。

《快適性》
・コントローラのボタンをフルに使うので、慣れてもたまに混乱する。あと、ダッシュやジャンプなど、配置を変えたくても2つを入れ替えるくらいしかカスタムできず、ボタン配置に関してはもうちょっとプレイヤーの好みで再配置できても良かったとは思う。ま、任天堂内製のソフトって意地でも付けんですけどね、自由度の高いキーコンフィグって。「オレ様の考えた操作方法がベストに決まっているであろう!他に選択の余地など無いッ!!」ってな(苦笑)。

・同様のジャンルの他作品と比べりゃ十分頑張ってるのは分かるが、ワープ後など10秒以上のロードが発生するのは任天堂作品としては少々長い。
THE 感想。
 とにかく没入感&中毒性の高さがスゴい。ありきたりな言葉で表現すれば『オープンワールド化したゼルダ』なんだが、一般的なオープンワールドゲーとは一線を画する細部に渡るまでの作り込みの細やかさがあり、同時にオープンワールドゲー特有の圧倒的なスケール感もある、一挙両得なバケモノ級の作品と言えそうな。『ただオープンワールドゲーが流行ってるからそれに載っかった』では無い辺りが、流石、へそ曲がりな任天堂&ゼルダスタッフではある(※褒め言葉な)。

 過去のゲームイベント等でスタッフが『アタリマエを見直す』と繰り返し発言していただけあり、これまでのゼルダの伝説シリーズ(特にN64の「時のオカリナ」以降)の作法をぶち壊して再構築した印象。内容的に過去作で一番近いのは恐らくは『ムジュラの仮面』で、時間制限こそ無いものの、プレイヤーに攻略の裁量権が全面的に委ねられている部分がムジュラを思わせる。その分必然的にプレイヤーを放り投げる格好にはなってはいるが、完全に放り投げている訳でもなく、ある程度は親切さも残したバランス取りがまた凄いと言えば凄い。んで、個人的にはゼルダってのは『時のオカリナ』以降は面白さよりも凄さが前面に出てしまってて楽しい事は楽しいんだけどどうも腹がもたれる感じがしておったんだが、19年目にしてわしが感じておったシリーズ特有の短所を克服した、とでも表現できるか。

 『密度の濃さを維持したまま海外のオープンワールドゲー風の味付けをしたゼルダ』と言えるが、ただのアレンジに留まらない随所に渡る細かい配慮、そして時には思い切った振り切れっぷりが潔い。全体としてはコアなゲーマー向けの内容で、DSやWiiの頃に任天堂がケツを追い回していた『普段ゲームをやらんライトなユーザ層』には恐らく相当に荷が重い内容であり、誰もが文句なしで楽しめる言い難い。ただ、1つの完成されたゲームとしてバケモン級で事は間違いなく、近年はややおとなしい印象が強かった任天堂の久しぶりの超大作系の野心作とは言えそうで、この点は古参ニンテンダーとしては嬉しい。万人向けのラインナップを重視する任天堂ではあるけれど、外人さん中心にコアなゲーヲタが群がるゼルダシリーズくらいは任天堂内製作品でも万人向けからちょっとはみ出ても良いとは思う。

 ゲーム好きならこれを遊ばんのはもったいない。合う合わないはあると思うけど、ちょっとでも興味持てるようなら是非とも遊んでみていただきたい一品。

掲載日:2017年3月13日
更新日:2017年7月24日


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