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大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
メーカー:任天堂
開発:ソラ、バンダイナムコスタジオ
機種:ニンテンドースイッチ
発売年月日:2018年12月7日
価格:7700円
ジャンル:アクション(2D・格闘)


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ついでにマスターハンド
…じゃなくて軍手もどうぞ。

執筆: こうちゃ関西営業所長

映像 音楽 快適性
&操作感
独自性 難易度・
バランス
ボリューム シナリオ 総合評価
8 8 5 6 8 9 7 71
プレイ時間…90時間程度
※各項目は10点満点、総合評価は100点満点
良いんじゃないかな。
《ゲーム全体に関して》
・なんと言っても圧倒的すぎる物量がスゴい。forで登場したステージや音楽、アイテム等はほぼ全て登場しており、さらには初代、DX、Xで登場した音楽やステージもかなり使われており、これらに関しての物量だけで言えば、シリーズでもトップクラス。

・スマブラシリーズ特有の爽快感や、対戦の盛り上がりは変わらず楽しい。状況に合わせて敵と戦い、派手に吹っ飛ばす、アクション対戦ゲームのトップたる存在とも言えるスマブラ特有の面白さはしっかりと感じ取れた。

・グラフィックは他のゲームより際立ってキレイ!!という訳ではないが、Switchとしてはまあまあ綺麗な方だと思う。新しいステージやキャラクターも作り込まれていて写真映えする。

《バトル等の仕様について》
・74体という破格のファイターの数だが、キャラクター性能や技は千差万別で、色々なキャラを使い分けるのはやはり楽しい。ダッシュファイターとして既存のキャラの一部性能とモデリングのみ変更したキャラクターも複数居るが、それらも賑やかしとしては良いと思う。

・全体的にキャラクターの移動速度やジャンプ速度がアップした。総合的なゲームスピードが上がった訳ではないが、動きの俊敏さが上がった。機動力が低いキャラでも大ジャンプは中々素早く、スピーディに動かせるのは良かったと思う。

・緊急回避を連続で使用すると隙が大きくなり、あまり気軽に出せなくなった。攻撃の差し合いが重要なゲームなのでこれまでは緊急回避を連発して地表をコロコロする立ち回りがやや多めになる事が多かったが、このシステムの導入で同じ立ち回りを繰り返す事が自然と減るようになり、変化が出来たと思う。

・前作では全ステージの形を平面な台地のみにしてシンプルな形にする『終点化』がガチ対戦向けに用意されていたが、本作ではそれに加えて3つのすり抜け床を空中に用意したステージ『戦場化』も用意されたのは嬉しかった。終点化だと地上戦や低空での戦いをメインに戦う事になるので、高空での戦いや立ち回りの幅が広がる戦場化は遊びの幅が広がる事に繋がった。

・トレーニング専用ステージでは技を敵に当てた時に吹っ飛ばしベクトルが表示されたり、当たり判定や無敵判定が表示されたりとガチ勢にとっては助かるシステムが加わった。キャラ検証や練習がある程度やりやすくなってるので、ガチ対戦を極めたい人にとっては良いかもしれない。


《バトル以外のモードに関して》
・従来の『シンプル』に相当する『勝ち上がり乱闘』がキャラクターごとによってお題がしっかり作られていて面白い。原作のストーリーに基づいて作られた物も多く、着想は良かったと思う。

・さらに『勝ち上がり乱闘』及び、灯火の星で戦えるボス戦が中々面白い。Xの『亜空の使者』でもボス敵が多く登場していたが、本作もそれらと近い系統で、様々な出展元のゲームのラスボス格のキャラがボスとして登場してきてくれる。

・『灯火の星』は思ったよりはストーリー要素が薄かったが、作る手間や登場するキャラ数の関係を考えればこのくらいで良かったのかもしれない。終盤のある展開は(流石にここでは伏せるが)歴代スマブラプレイヤーにとっては中々面白かったし、全体的には王道の作りで変にクセは無かった。

・ゲーム内にあるヘルプの説明が細かくて中々親切。普通にプレイしているだけでは気付かないようなテクニックや、ゲームモードの解説等も丁寧に教えてくれる。

・リプレイ機能が充実した。スーパーマリオオデッセイのスナップモードのように、カメラワークを色々変えたり、映像を止めてる時は簡単なエフェクトをかけたりして写真を撮るのを楽しめる。

《その他》
・多数のゲーム作品のキャラクターを紹介するという名目上、従来のフィギュア名鑑ではキャラモデルを作ったり説明文を追加する必要があり手間暇の関係上限界があったと思うが、本作から登場したスピリッツのシステムは登場させるゲーム数を鑑みると、妥当なシステムだったのではないかと思う。

・本作では原作再現を頑張っている点がそこそこ感じ取れた。キャラクターのモーションの細かさや、原作で使われていた技の性能をスマブラの仕様へとさほど違和感無く組み込めてるものが多く、しっくりくる。

・新規参戦ファイターは(現時点では)スマブラの殴り合いにマッチしたキャラクターが多くて、個人的には良かった。キャラサイズ的に難しいと思われていたクルールやリドリーも違和感無くファイターとして組み込めており、再現性も高くてグッド。

・使える場所は限定的ではあるが、ファイターごとにキャラパワーを変更出来るシステムは驚いた。『このキャラが強い、弱い』という判断はプレイヤーごとに異なるし、言い出すともはやキリが無いので、公式の調整が気に食わない人が自らキャラパワーを調整出来るのは(ヤケクソ気味のシステムではあるが)良いと思う。

・本作で使われているゲームの出展元の名曲と言える曲はほぼ取り揃えており、サウンドテストで聞き流しているだけでも非常に楽しめる。およそ900曲も収録されているという触れ込み通り、こと曲に関するボリュームは凄まじかった。
駄目なんじゃないかな。
《ゲーム全体に関して》
・総じて言うと、パッと見た目では前作『for』とそこまで変化は無く、目新しさは無い。発売前から読めていた事ではあるが、大雑把に言うと『for』のバージョンアップ版と言える。『初代』→『DX』や、『DX』→『X』の時のような完全新作を遊んでるという感覚は無い。さらに言うと、『X』→『for』の時も目新しさは少なめだったが、本作はその時よりも目新しさが少ないように感じた。

・登場するアイテムやステージ、音楽等も数こそはかなりあるが、過去作品で使われた物をそっくりそのまま引き継いでいるものばかりであり、ボリュームに反して目新しさはあまり感じられなかった。新規で追加された物量で言えば『for』→『SPECIAL』よりも、『X』→『for』の時の方が間違いなく多い。水増しや使い回しはシリーズでも一番多いと言っても過言ではない。

・『全員参戦』という売り文句の通り、これまでのスマブラシリーズに登場したファイターは全て登場しているが、一部のキャラは必要性があったのか微妙なラインに感じる者も。例えばこどもリンクは、『X』にて軽量リンクとしてほぼ同じ立ち位置に変わったトゥーンリンクが登場してるのに、同時に二人登場していたりしている。下手に厳選すると批判が来る事もあるために、これらの決断に至ったのかもしれないが…。

・参戦しているキャラだけでなく、スピリットとして登場してるキャラ等も含めるとゲームの出展元が任天堂以外のものがかなり増えており、ネタ元のごった煮感が半端ではなく多い。前作の時点で他社枠が多くてごった煮感が強かったが、本作ではそれを上回るほどのごった煮感。

・前作まではあったゲームモードのオールスターやホームランコンテスト等の一人用モードや、複数人でも遊べるフィールドスマッシュといった本来のゲームモードとは少し傍流のゲームモードが尽く無くなっている。通常の乱闘の延長線上でしかなくそこまで複雑な作りではないのに、これらまで削除したのは理解し難い。

・従来作の曲の再利用や、既存の曲のアレンジ曲数はシリーズでもトップクラスに多いが、スマブラオリジナルの完全新曲はそこまで無く、既存の曲が多いのもあって新曲に目新しさがあまり無い。

《操作・快適性に関して》
・従来のようにキャラクターを選択してからステージを選ぶという順番ではなく、ステージの選択が先でキャラクターの選択が後になったが、従来のやり方に慣れてる身としては違和感があった。公式によると『ステージとキャラの相性もあるので、先にステージを決めた方が良いと思ったから』という事だそうで、恐らくロード時間の短縮等の兼ね合いもあったのだろうが、設定等で順番を逆に出来るようにもしてほしかった。

・画面が移動する時に細かくロード時間が入るのが煩わしい。普通に他のモードをプレイしていてるだけでも画面移動の鈍さに鬱陶しさを感じる事が多く、ロード時間が細かく入るのは不満点。

・ジャンプ移行フレームがかなり短くなったらしく、小ジャンプが出しにくくなった。名前ごとに決められるボタン設定ではじき入力が出にくくする設定をしても、まだ咄嗟には出せないほど難しい。

・通常攻撃を命中させた時のヒットストップがやや長めで、攻撃が重々しい感じになりキャラの移動速度等と比べるとテンポが合ってないように感じた。さらに複数人対戦でも一部の技で致命的な一撃を喰らわせると、その場面へカメラがズームされて派手な演出が入るのだが、他のプレイヤーからすればゲームスピードが一瞬止まるだけで鬱陶しさを感じる事もあるので、前作まで通り普通の演出の方が良かった。

・CPUが強い…というよりかは反応があまりにも良すぎる。ガードや緊急回避を気味が悪いほど的確に決めてくる相手ばかりで、CPUのこの反応が良すぎる仕様は対戦していても萎える。

・スマブラシリーズのお約束通り、挑戦者として出てくるキャラを倒す事によってキャラ追加する事が出来るのだが、この挑戦者の強さがやや強めに設定されているらしく、初心者だと太刀打ちするのが辛い。倒せなかった場合でも『挑戦者の間』へ行くと再戦が出来るようになっているが、このモードはいつでも使えるという訳でもなく、気軽に挑めないのも問題。Xからのお約束として、何度か挑むと難易度が下がるようにはなってると思われるが、参戦するキャラが非常に多いだけに誰でも一苦労する事になりそう。

・本作は全体的にステージの明るさがキャラクターへ影響しやすくなっており、背景にキャラクターが紛れて分かりにくくなる事がある。さらに激しいエフェクトに紛れてキャラクターが吹き飛んだ時にどの方向へ飛んだのか見失う事がある。キャラクターの位置関係が重要なこのゲームで、この映像面での仕様は不親切。

・アイテムが小さいものがあり、画面が引き気味になると何処にアイテムがあるのか分かり辛い。Xでも同様の問題があり、forである程度改善されて良かったのに、また問題が再燃してしまった。

・ファイターのカラーリングを変更しても、一度戦闘待機画面を抜けると前作のように引き継がれず通常のカラーリングに戻ってしまう。好みの姿や色を自動的に保存してくれる前作の仕様に慣れてると、毎回一手間かかるのが面倒。

《スピリッツ、灯火の星(1人用モード)等に関して》
・一部のスピリッツのお題がやたら難しい。というか普通にプレイするとバランス的に理不尽な物があり、例えば『CPU2体とアシストフィギュア一体がチームを組みプレイヤーを執拗に攻撃してくる』といった物や、『メタル状態の敵8体と体力制乱闘』といった真っ向勝負では到底勝てる訳が無さそうなものが多い。一部の強力なアイテムを使ったり、特殊なサポートを装備して逃げ戦法に徹さないとクリア出来ないようなバランスのものがあり、面白味に欠ける。

・スピリッツの敵も、結局は普段の大乱闘と同じルール設定の物ばかりであり、スピリットを集めていても段々作業感が強くなってくる。同じようなお題のもので無理矢理物量を増やしてるだけの物も多く、飽きが来るのも早い。

・灯火の星のマップがかなり広いのに一度行った場所へワープする術が少なく、探索が面倒臭い。さらにクリアするために倒さなければならない相手が多く、しかも難易度が高い敵も多いので、プレイヤーの腕前が足らないと詰んでクリア出来ない可能性がある。

《オンライン周りについて》
・オンライン対戦では戦いのモードをプレイヤーがある程度は選べるが、必ずしも希望通りのモードで遊べる訳ではないシステム。例えば1on1のみをプレイしたい人がそのルールを優先的に選ばれるように設定しても、稀に通常の4人対戦の大乱闘へとマッチングしてしまったりする事がある。やりたくもないゲームモードを無理矢理やらされる事もある訳で、何故このような仕様にしたのか謎すぎる。

・回線が重い相手や馴れ合いをしている相手との対戦は試合途中であっても抜けたいものだが、本作でも前作に引き続き途中抜けする事が出来ない。悪質なプレイヤーとマッチしなくとも、ストック制での対戦では先にストックが無くなったキャラは試合が終わるまで強制的に観戦させられ続けるのでかなり暇。

・オンライン対戦では同じ相手と連戦するを選ぶと、何故かキャラ変更が出来ない。さらにネット対戦ではキャラクターの選択をおまかせ設定に出来ない。これらは前作までは普通に出来ていただけに完全に改悪。

・レート制も用意されているが、自分よりも下のランクのプレイヤーが世界に何人いるかが分かるだけで、大まかな実力がイマイチ分かりにくい。

・フレンドとのネット対戦について。前作まではプレイヤーだけでなくCPUをバトルに追加する事も出来たのだが、本作ではCPUを追加する事が不可能になっている。前作まではCPUを追加しても問題なくオンライン対戦で動いて楽しめただけに、本作でのこの仕様は不便。誰でも部屋に入れる設定にした場合、見知らぬ誰かが乱闘に入ってきてくれる可能性もあるので、それで無理矢理枠埋めする事も出来るが…どんな相手が来るか分からない上に人が必ず来てくれるかも分からないので、どちらにしろCPUも使える必要があったはず。

・フレンド対戦ではオフラインでは使えるはずの特殊なルール設定をしたり、チーム乱闘で対戦する時には自由にチーム編成を変える事が出来ない。さらに一度部屋を作ると部屋を解放するまでルールの変更が出来ない。これらも前作までは出来ただけに、なおさら不便さを感じる。知っている者同士でワイワイ楽しめるように、フレンド対戦くらいはもう少し快適に出来てほしかった。

《その他》
・ゲーム内容が更新されても、公式がアップデート内容をほぼ明らかにしない。調整が入ったキャラこそ公開されているが、どの技がどう変更したのか、等の事は前作に引き続き言わないまま。一々検証する手間がかかるので、キャラクター研究を極めるガチ勢からすれば不親切すぎた。

・前作に引き続き、一部のアイテムやアシストフィギュアが強すぎる。対処法が分からない初心者だと成す術もなく撃墜されてしまう事がとても多い。

・ボス敵がせっかく色々作られたのに、Xの時のようなボスラッシュモードが存在しない。『灯火の星』でそれに準ずる物は存在するが、キャラクターごとにタイムやスコアを記録して楽しめるようにしてほしかった。

・他のゲームのように、スクリーンショットボタン長押しで録画が出来ない。実はリプレイを使って、Switchに刺したSDカードへ動画を送る機能が搭載されているのだが、これに関する説明も無く気付きにくい。SDカードを用意して、PC等の他のデバイスを使ってネットに上げて…とする手間を考えると、30秒という短い枠組みでも良いから普通にSwitchで映像を撮って、Twitter等に上げれるようにしてほしかった。
感想だぞ。
 前作『for』の時点でスマブラは本格的に物量を特に重視する路線になってきたと感じてたが、本作ではまさにその物量を特化させたような作りになった。前作までの豊富な物量を全部一つに纏めた、と言えそう。

 その目玉と言える物量面についてだが、これらを全て綺麗に纏めあげられれば良かったのだが、結果的にはかなりゴチャゴチャしてるように感じた。ゲームの出展元だけでも物凄い数に膨れ上がっているだけに、それらを全て均等に使おうとすると、その分だけゲーム内容に悪影響を及ぼしてしまっている。公式が新要素として推していたスピリッツがまさにそれで、無理矢理物量を増やしてるだけで基本的には使い回しばかりで飽きが来るのが非常に早い。物量を増やしすぎたせいで、作業感が強くなってしまっている。

 普通に対戦のみを楽しみたいプレイヤーにとっては通常の対戦やオンライン対戦だけプレイすれば良いのだが、対戦面でも従来作の問題を引き継いでいる所も多く、取り合えず物量だけ増やした弊害が後を引いてしまってる感じがある。

 特にオンライン周りには前作以上に劣化が起きており、今のところは前作より快適にプレイ出来るとは到底言い難い。オンライン対戦はエンジョイ勢もガチ勢も住み分けして楽しめる事が重要だったと思うのだが、それらさえ一つに纏めてしまった本作独自のオンラインシステムは、何故こうなってしまったのか理解に苦しむ。フレンドとの対戦ですら快適に楽しみ辛く、前作や前々作からなぜここまで劣化点が出てきたのかかなり疑問が残る。

 現時点でゲームシステム的に大きく問題と言えるのは『スピリッツ』と『オンライン』と『UI』辺りだろうか。今さら変更が難しいスピリッツはともかく、オンライン及びUI周りの不便さは少しでも早く改善してほしいところ。2018年の9月後半頃から任天堂はSwitchの一部ゲームのオンライン有料化を始めたが、任天堂のオンライン対応ゲームの中でも有力タイトルと言えるであろう本作のオンライン周りが、このレベルの仕上がりなのはお粗末すぎるとしか言い様がない。

 本作でもスマブラ独自の面白さは間違いなく楽しめるのだが、SPECIAL独自の問題点があまりにも増えすぎている。とにかく物量を増やしていこうとする路線が完全に悪影響を及ぼし、それだけでなくオンライン周りでも新たに問題が起きていたりと、何かとスマブラが迷走している感が強い。

 これまでのシリーズに登場したキャラ、ステージ、音楽などをそのまま使うのは確かにボリュームアップや過去作ファンへのサービスにはなるのだが、逆に新要素が過去の遺産の中へ埋もれてしまうという事にも繋がる。ボリュームを増やすとしても、過去の物をただ流用・焼き増しするだけではせっかくの新要素が埋もれて勿体無くなるので、次作がもし作られるなら長らく続いてきた、物量路線のスマブラの『当たり前』を見直してほしいところ。

掲載日:2018年12月11日
更新日:2019年1月2日


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